こんにちは、霜月です。
森永康平さんの書かれた「誰も教えてくれないお金と経済のしくみ」を読んだので、過度なネタバレを避けつつ感想を書いていこうと思います!
あらすじ
以下、Amazonからの引用です。
お金はどうやってできて、どのように世の中を回っているのか?
日本はお金の教育遅れていると言われて久しいなか、新進気鋭の経済アナリストで金融教育の会社も経営する森永康平氏が一生お金で苦労しないためのお金の知識を解説する。使う、貯める、稼ぐ、増やす、そして減らさないといったお金の基本的な仕組みから経済のことまで、豊富な図解とイラストでスッキリ理解できる一冊です。
読もうと思ったキッカケ
金融知識が皆無なため、初心者向けの本を読みたかったから!
感想
とてもわかりやすい本でした。本書のテーマは「お金と経済」ですが、幅広いトピック(貯金の話から政治の話まで)に触れており、大変勉強になりました。また、イラストや図表の引用が多く、具体的な数字を知ることができたのも良かったです。
1章:「使う」「貯める」「増やす」お金の基本を知ろう!
本章はお金の基本的な考え方がテーマでした。日本人は無意識のうちに「貯金は良いこと」だと刷り込まれていますが、その常識は正解なのか?についてまとめられていました。
特に驚いたのは、日本の「貯金箱」のイメージは穴が1つある豚さんですが、米国の貯金箱は穴が4つあるということ。使う、貯める、増やす、寄付する、の4つの用途とのことで、幼いころから投資や寄付について考える機会があるのは日本との違いですね。
また、以下も勉強になりました。
- お金持ちの定義を「1億円以上の資産を保有している」とした場合、日本では133万世帯いる(NRI)
- 贅沢とは「実際の生活が必要とする以上の、分に過ぎた消費」
- 老後に夫婦2人で生活するには日常生活費として月最低22万必要
- ゆとりのある老後を過ごすためには、日常生活費+14万円必要
- 日本人の金融資産のうち、現金/預金は54%を占める(米国は13%)
- 上記原因は長いデフレに苦しんだため(物価が下がったため現金の価値が上がったため)
- 競馬の払戻率は7割超で、宝くじは4割
2章:お金を稼ぐことについて教えて
本章ではお金の稼ぎ方がテーマでした。資本論で有名なマルクスの考え方について簡単に解説されており、勉強になりました。賃金の引き換えに労働を貰うが、資本家は賃金以上の労働(剰余価値)を生み出して利益を得ている。そのため、資本側にならないとお金を搾取され続けるということらしいです。この点を理解した上で、自分が「労働者」でい続けるのかを選択すべきと仰っていました。
また、以下も勉強になりました。
- 日本の全労働者のうち、非正規雇用者は約4割
- 2018年時点での平均給与額は男性は545万円、女性は293万円(国税庁)
- 働き方改革とは「働く方々が個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を自分で選択できるようにするための改革」(厚生労働省)
- 労働力確保のための主な施策は①高齢者の登用②女性の労働市場への参加③外国人労働の活用④ITやAIの駆使
- 日本で出産/育児を理由に退職する女性は、出産前有職者のうち約5割
3章:将来のお金はどうやって蓄えればいいの?
本章は将来必要となる費用や貰える費用など、将来のお金がテーマです。子育てや介護にかかる費用や年金、投資について具体的に解説されていて、個人的には1番勉強になった章でした。文部科学省と日本政策金融公庫の調査によると、子供が幼稚園〜大学まで仮に全て公立だったとして、必要となる教育費は約1000万円とのこと。そこに塾代や交通費、その他の習い事や留学が必要となれば更に上乗せです。こういった具体的な数字は大事ですね。
また、以下も勉強になりました。
- 介護にかかる月額費用は7.8万円(介護施設代や医療やオムツ代)
- お金を使わないことが正解なのではなく、使うことが最も良い選択であれば使うべき。安ければいいというのは間違い。
- 国民年金の受給額は1999年の年額80万円から2019年には年額78万円とわずかに減少
- 一般的な年金とは公的年金を指し、公的年金は国民年金と厚生年金に分けられる、国民年金は20歳以上60歳未満の人は全員加入し、厚生年金は会社員や公務員が加入。2019年度における厚生年金の平均受給額は14万円で男性は16万円、女性が10万円。
- 個人で加入する私的年金は確定拠出年金など
- 年金を受け取るタイミングによって受給額は変動する。繰り上げ請求(60-64歳で早めに貰う)すると1ヶ月あたり受給額は0.5%減り、繰り下げ請求(66-70歳で遅く貰う)すると0.7%増える
- 投資の世界で「リスク」とはリターンの振れ幅を指す
- 日本銀行の金融政策理念は「物価の安定を図ることを通じて、国民経済の健全な発展に資すること」
4章:最新のお金について教えて
本章はキャッシュレスや副収入、詐欺被害などについてがテーマです。電子マネーは主に交通系、クレジットカード系、QRコード系に分類されるのですが、2019年の日本の最終章市支出のうち、電子マネーで支払われた割合は1.9%とのこと。車や家はPASMOやPayPayで買えないので、この数字をどう受け止めたらいいのかしらと思いましたが、QRコード決済の割合が2018年から2019年で約6倍になり、急速に普及しているのには納得でした(経産省)。
私は普段キャッシュレス決済(特にクレジット)がメインで、現金はほぼ使いません。しかし、ラーメン屋さんや街のパン屋さんなどの飲食店では現金のみの場合が割と多いので、不便だなあと感じてしまいます(その為、5000円だけ持ち歩いています)。
また、以下も勉強になりました。
5章:そもそもお金はどうやって世の中を回っているの?
本章は国家レベルのお金の話がテーマです。金融初心者の私には少々難しい内容でしたが、教養としてこれくらいは理解してないといけないなあと思いました...。特に、「2019年の月次の実質消費支出のうち、対前年同月変化率が最も増加した月は?」というクイズにはパッと「9月」と答えられないとまずい気がしました(汗)10月には消費増税があったので、9月には駆け込み需要が発生しましたね。
ミクロな視点も大事ではあるものの、経済自体がどうなっているのかというマクロな視点も持つようにしましょう。
本当にその通りだなと。
また、以下も勉強になりました。
- 経済大国はGDPの額によってランキングが作成されている
- インフレには2種類あり、景気が良くなることが人々がモノを買い、値段が上がることをディマンドプルインフレと言い、原材料の値段が高騰することで値段が上がることをコストプッシュインフレと言う
- 経済政策には2種類あり、金利を上下させてお金の量を調整するのは金融政策、公共投資や税率調整するのは財政政策
- 円高になると海外旅行はし辛くなるが、輸出産業からすると追い風になる
- 一方で、企業も為替変動対策をしているので、輸出産業に投資をすれば儲かると思わないこと
本書は金融の基礎について学ぶのにとても良い本でした!著者が最後に綴っていましたが、お金は歴史的な事実をしっかり学んで柔軟に考え方を変化させることが大事だと改めて感じました。